sideT. 29-3 ページ42
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Aの突飛な行動に呆れながらもちょっと残念に思う。
そりゃ確かに今まではいい加減な事もして来たけど、今はA一筋で……そんなAに女連れ込んでるって思われたのがショック。
そもそも女連れ込んでたら、玄関開ける訳がない。
そんなショックを受けてる俺を、Aは更に追い詰める。
「だろうな」
そう言いながら台所に向かった俺に、
「もう帰ったの?」
「誰が」
「女」
Aはしつこく聞いてくる。
いや、Aの中での俺のイメージってそんな感じか?
適当に女食いまくってるってイメージなのか?
自分の評価への情けなさに吐き出す溜息と共に、
「お前なんかに取り憑かれてんじゃねーの」
そう言った言葉に返してきたAの言葉は、それでも少し俺の気持ちを浮上させた。
「だって昨日電源切れてたじゃん!」
そのたった一言で思わずホッとする辺り、もしかすると俺は駆け引きってものが苦手なのかも知れない。
電源を切ってた事を知ってるって事は、つまりは俺に電話してきた訳で。
そこまで俺の事を気にしてるAに嬉しさを隠し切る自信がない。
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作者名:ピカ | 作成日時:2016年6月16日 0時