sideT. 29-1 ページ40
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その夜は、携帯の電源を入れてAから連絡が来てるかを確認してしまいそうになる自分との戦いだった。
家に居て何をしていても携帯が気になって仕方ない。
もしかして家まで来るんじゃねぇかって期待すらした。
でも何時になっても訪問者はなく、電源を切った携帯がただ気になるだけの夜を過ごし──…
事が起こったのは次の日の朝だった。
2時間目からの講義だからと目覚ましも掛けずに寝てた俺は、
「草川先輩!」
その声と壊れるんじゃねーのってくらいドアを叩かれる音で目覚めた。
一瞬夢でも見てるのかと思ったそれは、
「草川先輩!」
どうも夢ではなく、マジで外にAがいるらしい。
枕元にある目覚まし時計を見ると起きる時間には1時間以上も早く、寝起きの重い体を起こし寝室を出た。
俺が玄関に向かうまでにもドアを叩く音と喚き声は止まる事なく、
「草川先輩!!」
「……」
「草川先輩ってば!!」
「……」
「いないのか!!草川拓弥!!」
「……うるせー」
そう言いながら玄関のドアを開けると、そこに期待通りのAが立っていて、俺の顔を見ると安心したような顔をした。
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作者名:ピカ | 作成日時:2016年6月16日 0時