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sideT. 28-7 ページ39

*



駆け引きは時に自分の首を絞める。

その翌日、一緒に昼飯食うって言ったAはサエコとカフェテリアに居て、俺を見ると逃げるようにその場を立ち去ろうとした。

サエコと一緒にいるのが辛いのか、前日八つ当たりした俺に対して怖いとでも思ってるのか、俺が来てすぐ用があるからと立ち上がり──…

逃げようとしたAを掴まえた俺にAは言った。


「……ねぇ、あたしにして欲しい事ある?あたし、草川先輩に何したらいい?」


Aは確かにそう言った。
少し泣きそうな顔してそう言って──…


「特別なにも。今までのままでいい」


…──そう答えた俺の言葉に嘘はなかった。

特別何かをして欲しいなんて思ってない。
ただ今のまま……ずっと傍にいてくれればそれだけでいい。


そう思える程に想いを寄せてるAに対して、それでも俺は駆け引きをし続ける。

……し続けなきゃならない。


残り時間が短い今、喩え自分の首を絞める結果になろうとも、行動を起こさなきゃ何も始まらない。






だから俺は携帯の電源を切った。



サエコと約束してた昼飯は、 柊生にサプライズを返したいって相談だった。

詳しくは聞いてないがプロポーズをサプライズでされたらしいサエコは、お返しに自分も何かプレゼントしたいらしい。


それに適当に答える俺の頭の中にはAに対しての次の手ばかりで、結局サエコの相談にはまともに乗ってやれなかった。


「プレゼント買う時、ついて来て欲しい」


そう言ったサエコに「分かった」と答え、俺は携帯の電源を切り家に帰った。


これは賭けだ。
俺がサエコと会う日だと知ってるAが俺に連絡してこようとするかの賭け。

電源が切れてる俺に対して、Aがどんな行動に出るのか──…



*

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設定タグ:超特急 , タクヤ , 草川拓弥   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:ピカ | 作成日時:2016年6月16日 0時

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