sideT. 28-6 ページ38
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でもそれは恋愛の嫉妬のじゃないのは分かってる。
これはプライドから生まれる感情で、誰だってAの立場なら……Aが思ってるような勘違いを抱いていたらこうなってしまうのは分かってる。
分かってるのに……いや、分かってるからこそイラつくのかもしれない。
それが恋愛の嫉妬じゃない事が気に入らないのかもしれない。
だからこそ、俺の態度はどんどんイライラしたものに変わり、
「お前、何がしたいの?」
そう言いながら指先がテーブルを叩く。
その質問に本当の言葉が欲しい訳じゃない。
それなりの言葉が欲しいだけで、それを貰って少しでも安心したいだけ。
だけど俺のそんな気持ちがAに通じる訳もなく、
「何って別に……」
「お前どうしたいんだよ」
「別にどうも……」
欲しい言葉は貰えない。
「あたしと一緒にいて欲しい」って一言でも言ってくれりゃこっちの機嫌も良くなるのに、Aは全くそんな事に気付きもせず……むしろそんな言葉すら思い付かないらしい。
「余計な事考えんな」
「……うん」
「俺は今のままでも充分だから」
「…………ん。分かってる」
そしてAは、
「分かってんならなんで、」
「……」
「……お前はなんで泣いてんだよ!」
ただ自分のプライドの為に泣き始める。
最高潮のイラつきは結局"八つ当たり"で吐き出され、その一瞬理性も何もかもが消えた俺は、気が付けば斜め前にあった椅子を蹴っ飛ばしていた。
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作者名:ピカ | 作成日時:2016年6月16日 0時