sideT. 28-4 ページ36
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「一緒に飯食う日って何」
講義が終わり逸る気持ちを抑えきれず足早にカフェテリアに来た俺は、店の奥を陣取ってるAを見下ろしそう声を掛けながら正面に腰を下ろした。
不機嫌さは自然でもあり不自然でもある。
これが駆け引きなのか嫉妬なのかはもう自分じゃ分からない。
「一緒にランチの日」
「そんな約束した覚えない」
「だから電話したじゃん」
「は?」
「だからさっき電話したんじゃん」
「……お前の言ってる事おかしくね?……で、その一緒に飯食う日ってのは、いつといつ」
メニューを手に取りそれに目を向けたAにそう問い掛けると、Aはこっちに視線だけを向けてくる。
「とりあえず、」
「ん」
「明日と明後日は確定してる」
「……」
「それと多分、」
「……」
「明々後日も」
「無理だわ」
間髪入れずにそう答えたのは駆け引きの一つで、この時点ではまだ特に何も考えてはなかった。
押してダメなら引いてみる。
中高生でも使うだろう駆け引きを口にしてから、サエコと約束してた事を思い出した。
俺が持ってる唯一の駆け引きの"駒"。
今ここでそれを使わない訳もなく、
「明々後日は無理」
わざと注文した品が来るまでAから目を逸らせ携帯を触ってた俺は、昼飯がテーブルに置かれ店員が奥へと下がるとそう言った。
「え?」
今まで黙ってた俺が突然口を開いた事に驚いたような声を出したAは、自分が食ってるオムライスから俺に視線を向ける。
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作者名:ピカ | 作成日時:2016年6月16日 0時