不機嫌なダーリン。14 (ページ35)

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ポケットに入れてあった携帯が震えてる事に気付いたのは2時間目の途中。

阿部教授の講義に集中出来てない事を指摘するかのように携帯が小さく震え、それに気付いた。

普段なら講義中の携帯は無視するにも拘わらず、ポケットからそれを取り出したのはAからの連絡じゃないかって期待した所為かもしれない。

携帯画面を見ると期待していた通り電話の相手はAで、一番後ろの席に座ってた俺は、前の奴の隠れるように机に突っ伏し電話を耳に当てた。

『もしもし？』

通話ボタンを押すと聞こえてくるのは予想以上にデカいAの声で、

「……」

『もしも～し』

「……」

『おーい！』

「……」

『もしもしってば!!』

「……黙れ、講義中」

携帯から微かに漏れるAの声に辺りを見渡し小さく怒鳴った。

聞こえるか聞こえないかくらいの小さな俺の声は、何とかAに聞こえたらしく、

『今日、お昼一緒に食べる日だからカフェテリアで待ってる』

Aはそれだけ言うとプチッと一方的に電話を切った。

思わず「おい!?」と声を出してしまった俺に阿部教授と周囲の視線が突き刺ささる。

それでも。

「……すみません」

阿部教授にそう謝る俺の口元は緩んでいた。

*