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sideT. 27-7 ページ32
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Aの想いを向けられてる目の前のこの男が、どうしようもないほど羨ましい。
「今の話をAに言うかはお前に任せる。好きにすればいい」
「……」
「でも俺は絶対Aを手放さねーからな？縛り付けてでも俺の傍に置いてやる」
「……」
「嘘だと思ってんなら行動起こせ」
「……」
「俺の本気ナメんなよ」
終始無言で睨んでくる"佑亮"に、そう吐き捨ててドアを閉めた。
これは最早宣戦布告なんかじゃなく、ただの言い逃げ。
どう頑張っても勝てない相手に負け惜しみを言っただけ。
「……クソッ」
短い言葉を吐き捨てながらリビングのゴミ箱を蹴っ飛ばして、散らばったゴミを見ながら思うのは……残りの時間が短いって事。
"佑亮"がAに本当の事を言うかは分からない。
それでも言わなかったにしても、"佑亮"がAにアプローチし始めるのは確実で、そうなりゃAは俺の前からいなくなる。
縛り付けてでもって言いながらも、実際そんな事出来る訳がない。
他の男を思ってる女を無理矢理手元に置いておく虚しさはもう充分ってくらい痛感してる。
これが……今起こってる事の全てが、俺が今までやってきた事への報いなら、多分これだけじゃ終わらない。
マジで因果応報なら、Aは俺の前からいなくなる予感がする。
だとしても俺は最後の最後まで抗い続けてやる。
残りの時間で何が出来る？
どうしたらAの気持ちを向けさせられる？
必死に思考を巡らせて、あの手この手を考える。
俺には駆け引きが必要で、押してダメなら──…
*
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作者名：ピカ
| 作成日時：2016年6月16日 0時
