sideT. 27-6 ページ31
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俺はそれを言わせないようにする努力さえしてなくて、ただAをどうやって自分の元に置いておくかって事しか考えてなくて、俺の言う事聞いてりゃいいって……俺の傍に居させる事しか考えてなくて……
……本当のAの幸せなんて考えてなかった。
わざとじゃないにしても、結局自分の利益しか考えてなかった俺は、
「Aは俺を好きじゃない」
ここで初めてAの幸せを考えた。
Aの為に出来る事って多分これくらいしかない。
「えっとそれは……」
「Aには他に好きな奴がいる」
「……」
「俺とAの関係はそんなに深いもんじゃない」
「……」
それでもAの好きな相手が"佑亮"だって事まで言えないのは、俺は未だに自分の事しか考えてないのかもしれない。
だけど癪に障ると思うのは正直な気持ち。
このまま"佑亮"に掻っ攫われるのを黙って見てるほど、Aへの気持ちは軽いもんじゃない。
「けど俺があいつに惚れてる」
俺を見ている"佑亮"の目が少し見開き、そして鋭い眼光に変わる。
本当は決まってるこの勝負の勝敗を、"佑亮"は未だに分かってないらしい。
「Aを手放すつもりはない」
俺が吐き出すその言葉に、素直に眉を寄せる"佑亮"が羨ましく思う。
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作者名:ピカ | 作成日時:2016年6月16日 0時