sideT. 27-3 ページ28
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"佑亮"がそれに言葉を失って驚いた顔をするのは、何で俺がそれを知ってるのかって思ってるからだと思う。
それでもこの隙を突かない訳にはいかない。
一気に捲し立ててこいつを追い払うのが先決で、この件に関して後々Aに文句言われたらそれはその時考えりゃいい。
「ヤれねぇからって振ったんだろ?」
だから俺は責めるのを止めず、
「今更好きだの何だのって都合良すぎるんじゃねーの」
お前が悪いとはっきり言う。
「俺らの事はほっとけよ」
「……」
「Aを捨てたお前には関係ない」
「……」
自分でも何様のつもりだって言葉を並べ立てて、逃げるように玄関のドアを閉めようとした。
だけど真っ直ぐな奴は性質が悪い。
殴りたいって思うくらいに性質が悪い。
玄関を閉めようとしてドアノブに伸ばした手は、
「失くしてから気付く事ってあるじゃないですか」
"佑亮"のその言葉にピタリと止まった。
止めたい訳じゃなかったのに、意思に反して止まりやがった。
「あの事は後悔してます。Aに言った酷い事も」
"佑亮"のAへの想いは、
「だからAには幸せになって欲しい」
真っ直ぐすぎてうざすぎる。
「草川さんがAに本気ならそれでいいんです」
"佑亮"のAへの執着は、
「けど草川さんって……今まで適当な付き合い方しかしてませんよね?」
真っ直ぐすぎて吐き気がする。
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作者名:ピカ | 作成日時:2016年6月16日 0時