sideT. 27-1 ページ26
*
爽やかを絵に描いたような"佑亮"は背中から陽の光を受け更にその爽やかさを増す。
そんな"佑亮"の正面に立つ俺は、
「……何か用?」
その爽やかさに反する低い声を出す。
「……」
「……」
「お話があるんですが」
数秒の沈黙を経て"佑亮"は口を開く。
でもその沈黙の間"佑亮"の目はしっかりと俺を見据え、逸らされる事のないそれに強い意志を感じた。
「入るか?」
そう言いながらも玄関ドアのど真ん中に立ち一切動かず、どっから見ても入れさせないって俺の態度に、
「や、ここで結構です」
"佑亮"はそう言ってふぅっと息を吐く。
緊張してるようにも見えるその態度に俺にも緊張感が芽生え始め、何しに来たんだって思いの中に、とうとうこの日が来たって覚悟もあった。
これは全く予想してなかった事じゃない。
確かに家に来た事は予想外だったにしても、"佑亮"がいつか俺に会いに来るだろうとは予想してた。
あの日……映画館で会ったあの日からそんな予感は確かにしてて。
……実際は旅行先にAを迎えに行った時から思ってたのかもしれない。
だから、
「話って?」
そう問い掛けながらもその内容は大体分かってる。
何を言われるか分かってて問い掛ける質問に虚しさを感じる。
そして案の定"佑亮"が口にするのはAの事で、
「Aと本気で付き合ってるんですか?」
一番聞かれたくない相手に一番聞かれたくない質問をされる。
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作者名:ピカ | 作成日時:2016年6月16日 0時