検索窓
今日:5 hit、昨日:23 hit、合計:352,958 hit

sideT. 26-3 ページ21

*




Aが家に泊まった日は絶対Aより先に起きるように心掛けてる。


それはAの方が先に起きて俺に抱き締められてるって知られないようにする為で、特に目覚ましなんか掛けてなくても自然と先に目が覚めるのはそれだけ神経を向けてるって事で……


「草川先輩、おはよう……」


その日もAは俺が起きてから1時間後に寝室から出て来た。

それでもいつもと少し雰囲気が違うのは昨夜の件を引き摺ってるからだって分かる。

だからこそ、


「パン食うか?」


リビングでテレビを見てた俺は、気にしてないって振舞って腰を上げる。


「パンいい、いらない……」

「珈琲は?」

「……飲む」

「分かった」

「……牛乳いっぱいのがいい」

「うん」


どこか遠慮がちなAの声を背中で聞きながら台所に向かい、冷蔵庫から牛乳のパックを取り出した。

元々あんま牛乳は飲まないのにAが家に来るようになってから常に冷蔵庫には牛乳があって、Aがいないと減っていかないそれを見て苦笑が漏れる。



「珈琲」

「ありがと……」


リビングに座るAに珈琲カップを差し出すと、Aはまだ遠慮がちに声を出しそれを受け取る。


そんなAを見ながら、そのカップが元カノが買って来た物だと思い出し、A用の珈琲カップでも買ってやろうと思う俺はバカかもしれない。

Aの近くに腰を下ろしてテレビを見てる俺の意識はいつも通りAに向けられ、隣で似合いもしない正座なんかして珈琲飲んでる姿に笑いそうになる。



*

sideT. 26-4→←sideT. 26-2



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (119 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
648人がお気に入り
設定タグ:超特急 , タクヤ , 草川拓弥   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ピカ | 作成日時:2016年6月16日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。