sideT. 26-2 ページ20
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今まで意識はしてなかったけど、こうして本気で惚れた相手が出来るとそれまでの自分を反省する部分が多々ある。
女に対しては適当で、そんな俺だからこそ付き合ってる女にやたらと別れ話をされてたんだと今は思える。
結局全部自分の所為で、真っ直ぐに想われたいって思うならそれなりの行動をしなきゃなんなくて──…だからこそ俺は真っ直ぐにAが好きなんだと思う。
恋愛に真っ直ぐな気持ちがあるAにだからこそ、こうして俺が真っ直ぐに想えるんだと思う。
因果応報って言葉が本当にあってやった事が返って来るなら、それはいい意味でもそうなのかもしれない。
Aは"佑亮"に真っ直ぐに惚れてるから、俺に真っ直ぐに惚れられてる。
そういう真っ直ぐな想いを向けられるっていうのは、その相手を好きじゃなくても悪い気はしないだろうと思う。
「……A」
「……ん、……」
俺が小さく呼び掛けた声に反応するAは、眠ってながらも俺の声が聞こえてるって事で、それだけでどうしようもない程嬉しい気持ちになる。
さっきよりも体をすり寄せて両足で俺の右足を挟むAを、このままこの部屋に置いておきたいって犯罪まがいの考えまで浮かんでくる。
もう二度と外に出さないで、二度と"佑亮"と会わせなきゃ、Aの気持ちは完全に俺の方に向くかもしれない。
でもそんな事実際には出来ないから、腕の中にいるAから少し離れてその顎に左手を添えてその顔を持ち上げこっちに向かせて軽く唇を重ねる。
その唇が離れた時、
「……草川……先輩……？」
そう言って少しだけ目を開いて俺を見つめたAに驚いた。
……けど、ニヘって感じに笑ってすぐに目を閉じて俺の胸に顔を埋めたから、それはただ寝惚けてるって事が分かってホッと息を吐きその体を抱き締めた。
俺が願うはただ一つ。
Aがこの腕の中に居続けるって事だけ……。
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作者名：ピカ
| 作成日時：2016年6月16日 0時
