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sideT. 25-8 ページ18

*



「草川先輩……?」

「……」

「草川先輩」

「……ん」

「大丈夫……?」

「……ん。ちょっと……考え事してた」


心配そうなAの声を聞いて邪な考えが浮かぶ。

俺がサエコを好きだと思ってその"身代わり"として俺を受け入れてたA。

つまりはまだこの勝負に俺が勝てる可能性はなくはない。


Aがそこまで俺の事を気にしてるって事は確かで、"身代わり"は嫌だって言い方するって事は無意識にしてもこっちに気持ちが揺らいでる確率はある。


恋愛に駆け引きは必要だとこれまでの経験で分かってる。

足枷になってた経験が今度は俺に希望を抱かせる。


「おやすみ」と言った後、一度もAに振り返らず寝室を出て行き、そのドアを閉める間際「悪かった」と言った。


考えてる事は今後の出方。

駆け引きをするにはそれなりの"駒"が必要で、不本意にしても俺はそれを手に入れた。


嫉妬に似た感情を抱かせられれば相手の気持ちを揺さぶれる。

そうする為の"駒"が今、俺の手の中に入って来た。


怪我の功名ってやつかもしれない。

棚から牡丹餅ってやつかもしれない。



上昇した気持ちを鎮める為に家を出た俺は、今後の動きをただひたすらに考えていた。



……結局、Aが振り向いてくれればそれでいいんだけど。



*

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設定タグ:超特急 , タクヤ , 草川拓弥   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:ピカ | 作成日時:2016年6月16日 0時

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