sideT. 25-2 ページ12
*
「おい、水は?」
寝室のドアを開けそう声を掛けるとAは既に布団の中に入ってて、
「……飲む」
そうは言うものの起き上がろうともしない。
軽い溜息を吐き出しベッドに近付くと、Aは半分目を閉じたまま辛うじて俺を見上げて水のペットボトルに手を伸ばしてくる。
「起きて飲め。零すだろ」
「……面倒臭い……」
「布団濡れる」
「……面倒臭い……」
起きてんのか寝てんのか分からない声出して「面倒くさい」しか言わないAに、舌打ちをした俺はその体に腕を回して抱き起こした。
どこにも力入れてない所為で相当重いAの体を片腕で支えて水を渡すと、Aは半分しか開いてない目でそれを飲む。
いや、マジで。
何でこんな手の掛かる女にここまで惚れてんのかが分からない。
暗い寝室に入ってくるのは、閉め忘れたドアからのリビングの光。
目の前にいるのは、
「超楽チン」
どこまでも無防備な惚れてる女。
差し出されるペットボトルを受け取りAの体を支えていた腕を離した。
それはこれ以上触れてるのが危険だと思ったからで、湧き上がる欲望に抗える自信はない。
このままここで押し倒して無理矢理俺のモノにするのもいいかもしれないって一瞬でも思った事を嫌悪する。
そんな事で俺のモノになる訳じゃないってのは分かってる。
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作者名:ピカ | 作成日時:2016年6月16日 0時