検索窓
今日:15 hit、昨日:23 hit、合計:352,991 hit

sideT. 25-1 ページ11

*



「草川君、二股はダメだよ?」

「してねーよ」

「Aちゃんまた遊びに来てね」

「……」


サエコの玄関先に立った頃には既に0時を過ぎていて、「飲みすぎんな」って散々忠告してやったのにAは相当酔っ払ったらしく俯いたまま何も話さない。


「んじゃ、帰る」

「うん、またね」


サエコに軽く手を上げて隣にいるAに視線を向けると、Aは俯いたままで一切顔を上げようとしない。

もうどうしようもねーなって思った俺はAの両手を自分の腕に引っ掛けて引っ張って帰る事にした。


フラフラの足取りで引っ張られながら俺の家まで来たAは、不機嫌さはなくなったらしい。

それが酔ってる所為なのか、俺に散々八つ当たりしたお蔭なのかは分からねーけど、


「気持ち悪い?」

「……眠い」


家に入ってすぐに話し掛けても、おっとりではあるが普通に返事はしてくる。



でもその態度が落ち込んでるように見えるのは"佑亮"の二股疑惑がある所為で、靴を脱いですぐに寝室へと歩いていくAの背中に哀愁が漂ってるようにも思えた。


パタンと閉まった寝室のドアを見ながら俺の口から出てくるのはA以上の哀愁の溜息で、どうにもならないこの状況に疲れすら感じる。

それでもAを放っておく事なんて出来ない俺は、冷蔵庫から水のペットボトルを取り出すと寝室に向かった。



*

sideT. 25-2→←sideT. 24-7



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (119 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
648人がお気に入り
設定タグ:超特急 , タクヤ , 草川拓弥   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ピカ | 作成日時:2016年6月16日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。