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不思議に思ったのは、あたしが泣いてる事に対して何ら動揺しない事。
普通女の子が泣いてたら「どうした?」とか「何で泣いてんだよ」とか聞いたりするもんじゃないかって思う。

だけど草川先輩は泣いてる事に気付いてすらないみたいな態度で……そう言えば迎えに来てくれた時も絶対あたしが泣いてる事分かってたはずなのに、それに対して何にも言わなくて、それどころか気にもしてなかった。


それがどういう事なのか分かる。

ここまで徹底された草川先輩の動きからして、どうも酔ってる時のあたしはいつもこんな感じなんだと思われる。

だからある意味慣れてる草川先輩は、そんな事では何一つ動揺しなくて、……酔ってる時の自分がどれだけ人に迷惑掛けてるのかって事を教えられた気がした。

何か……本当……申し訳ない……。

ペットボトルの水を飲んで、本当に少し反省して、折角ここまでしてくれたんだから吐いてるフリして何回かトイレの水を流した。


どっちにしても酔ってるって事にしておいた方がいいと思ったし、その方が草川先輩に甘えやすい。


出来るなら1人になりたくない。

あのまま旅行を続けるくらいなら家に帰りたいって思ったけど、ここに連れて来てもらえたなら、ここにいたいと思う。

どうせ1人になったらまた色々考える。
さっきの短い時間でさえ、思い出して涙が出たくらい。

あたしが酔ってるって思ってたら、「泊めて」って言わなくても、草川先輩は泊めてくれるかもしれない。

もしかしたらこの間みたいに、草川先輩はもう寝てるかもしれない。


そんな期待を胸にトイレのドアを開けたあたしに、


「全部吐いたんだろうな」


リビングの方から低い声が聞こえた。


「……吐いた」


なんて嘘を言いながら、草川先輩ががっつり起きてた事にがっかりして、「帰れ」って言われたらどうしようって思いながら、リビングに入って行った。


*

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設定タグ:超特急 , タクヤ , 草川拓弥   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:ピカ | 作成日時:2016年5月30日 23時

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