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意味の分からない行動に呆然とするしかなくて、それでも押し込まれただけに外に出ていいのか分からない。
お仕置き部屋的何かのつもりでここに閉じ込めたんだとしたら、多分あたしはここで反省しなきゃなんないみたいで──…
「く……草川先輩……?」
おどおどとドアの向こうにいるであろうその人物に声を掛けてみても返事はなかった。
物音一つしないドアの向こうには、人の気配を感じない。
一体向こう側は何がどうなってるのか分からない。
それでもやっぱり出られないのは、閉じ込められた感満載だからで、結局あたしはトイレの壁にもたれて膝を抱えてそこに座った。
凄く静かな時間だった。
本当に物音一つ聞こえなくて、静まり返ってた。
今何時なんだろうとか、喉が渇いたなって思ってる長く感じる時間が続いて、本当にお仕置き部屋にでもいるような気持ちになって、心細さに思い出すのは、佑亮と女王の事だった。
こういう時こそマイナスな事は考えたくないのに、マイナスな事しか浮かんで来ない。
あのキスシーンが頭から離れなくて、これからの2人の事を思うとまた泣けてくる。
あの2人が付き合ったら、きっとその内″そういう行為″もして……あたしが知らない佑亮を女王は知る事になる。
もしかしたら2人の中であたしの話になるかもしれない。
昔あたしと付き合ってたって話を、ベッドの上でしちゃうのかもしれない。
そう思うと惨めな気持ちになって、やっぱり涙が溢れてきた。
こんな時にこんなトコに閉じ込める草川先輩を酷く恨んだ。
それでも結局、
「……うぅ……草川先輩……ごめんなさいぃぃ……」
恨み言を言うよりも、まるで子供が親に叱られた時みたいに膝に顔を埋めて泣き始めた時。
不意にドアの向こうが騒がしくなって、ガチャガチャドアを開ける音と、ドサッと何かが落とされた音と、こっちに向かって来る足音が聞こえた。
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作者名:ピカ | 作成日時:2016年5月30日 23時