不機嫌なダーリン。5 (ページ44)

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でもそれならあの時「彼女がいる」って言ってくれれば良かったのに。

そしたらあたしだって2・3発草川先輩を殴って終われたかもしれないのに。

「……なんで彼女いるって言ってくれなかったの？」

決して草川先輩だけが悪い訳じゃない事に、少々勢いがなくなったあたしの言葉に、

「一々言わなきゃなんねーのかよ？」

ジッと前を向いたまま、草川先輩は溜息混じりに言葉を吐き出す。

「だって普通は言うでしょ!?」

「何で言わなきゃなんねーの」

「そんなの彼女に悪いじゃん！」

「はぁ？」

「だってこうやって車借りたのだって彼女になんて言ったのよ！」

「お前迎えに行くって言ったんだよ」

「何でそんな事言えんの!?」

「喚くなって」

「草川先輩最低!!」

「あーそうかよ」

「マジ最低!!信じられない!!」

「教えて欲しかったんなら最初からそう言えよ。お前が柊生に女がいるかどうかにそこまで興味があるかなんか知らない」

「知らないって──………え？」

「聞かないから言わなかっただけだろ」

「と、……とうい？え？誰？」

2回目であるはずのその問に、「だから橘だって」と草川先輩が答える。

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