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メルヘン界代表のキャラクターの座布団や、ぬいぐるみ。
バックミラーにはペタペタとシールまで貼ってある。
草川先輩がこんな車に乗って来たって事だけでも相当驚くのに、それ以上に草川先輩の言葉に驚いて、
「……え?」
その衝撃に顔を上げて出した声は裏返ってた。
"彼女"って何?
どういう事?
あたしが"彼女"のはずだけど、コレはあたしの車じゃない。
そもそもあたしは免許もないし、だから車なんて持ってなくて──…
「早く乗れ」
面倒臭そうにそう言いながら運転席に乗り込んだ草川先輩に対して、たまらなく裏切られた気がした。
「彼女いるって言わなかったじゃん!」
「はぁ?」
助手席のドアを勢い良く閉めながら喚いたあたしに、車のエンジンを掛けた草川先輩が眉間にシワを寄せる。
でもそれは怒ってるんじゃなく、ちょっとバカにしてるって感じで、ハンドルを掴んでこっちを見た。
「彼女いるって聞いてない!」
「なに?」
「この車彼女のなんでしょ!?」
「うん」
「彼女いるって聞いてない!!」
「……いないとも言ってない」
呆れた声出した草川先輩は、そう言ってギアをドライブに入れてゆっくりとアクセルを踏み──…
「彼女いるならいるって言ってよ!!」
走り出した車の中に、あたしの喚き声が木霊した。
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作者名:ピカ | 作成日時:2016年5月30日 23時