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特に変な顔をしてる訳じゃない。
いつの通りの顔してる。
ただ友達と一緒に歩きながらあたしをジッと見てるだけで、特に変わった様子はない。
でもその橘先輩が、あたしと目が合った瞬間、スッと目を逸らせて少しずつ遠ざかって行くのを見て、今度は勝手に体が動き出した。
「A？」
走り出したあたしに、不思議そうな佑亮の声が聞こえ、慌てて振り返ると、
「ごめん！ちょっと用事があるんだった！また後で！」
足も止めずにそれだけ告げて前に向き直った。
何故だか分からないけど、足が橘先輩を追い駆ける。
何の為にそうしてるのか分からないけど、凄く必死に追い駆けてて、
「橘先輩！」
その背中にそう声を掛けられたのは、橘先輩が男友達と校舎に入る寸前だった。
あたしの声に少し驚いたように体を震わせた橘先輩は、足を止めてゆっくりと振り返る。
そんな橘先輩にようやく追い付く事が出来たあたしは、目の前で足を止めると乱れた息を整えた。
「……Aちゃん、どうしたの？」
ゼエゼエ言ってるあたしを見て、橘先輩は不思議そうな声を出す。
「あの、あ、あたし、」
声を出そうとしても息苦しさで言葉が途切れるあたしを見てた橘先輩は、一緒にいた友達に視線を向けると、
「悪い、先に行ってて」
そう言ってまた顔を戻してくる。
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作者名：ピカ
| 作成日時：2016年5月30日 23時
