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本気でそう願ってるのに、その気配は動かない。
それどころか、
「……A?」
佑亮が声であたしを追い詰める。
凄く困惑したその声には、少しだけ怪訝さも混じってて、なんであたしがそんな言い方されなきゃなんないのって本気で思った。
佑亮が悪いのに。
佑亮の所為なのに……。
「……ッ」
追い詰められたその感覚に、一瞬漏れそうになった嗚咽は、
「酔ってんだよ」
不機嫌な草川先輩の声に掻き消された。
「……酔ってる?」
「おう」
「それでどうして草川さんが?」
「は?」
佑亮の困惑は草川先輩に移り、それに答える草川先輩は本当に鬱陶しそうで、
「どうしてAを、」
「俺以外でコイツ迎えに来る奴いねーだろ」
意味深なその発言に、一瞬その場の空気が固まった。……ように感じた。
それでももうどうでも良かった。
誰に何と思われてもどうでもいい。
兎に角今すぐこの場から立ち去りたくて、早く家に帰りたい。
この2人から1分でも1秒でも早く離れたくて、今度サークルメンバーに何を言われてもいいやってまで思ってた。
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作者名:ピカ | 作成日時:2016年5月30日 23時