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背後から聞こえて来たその声に、草川先輩の体がまた動く。
ちょっとだけ体を捻って後ろに振り向く。
「どうして草川先輩が?……っていうかAさんどうしたんですか?」
ちょっと楽しげにも聞こえる女王の声に、苛立ちに似た感情が込み上げて来た。
そもそもこうなったのは女王の所為で……佑亮があんな事しなきゃこうはならなかったのに。
こんな気持ちにさせた張本人達の疑問に、答える義理なんかない。
しかもこの2人には絶対泣き顔見られなくない。
だから更に草川先輩の背中に顔を押し付けて、近付いて覗き込まれても泣いてるのがバレないようにほんの僅かな隙間すら埋めて、
「迎えだ。──…早く荷物取って来い」
連れて帰ろうとしてくれる草川先輩の言葉に、掴んでた服をギュッと握り締めた。
最初の言葉は女王に向けられ、後半の言葉は朋花に向けられてた。
そう分かったのは、「あ!はい!」って言った朋花の声と、背後にあった朋花の気配が走り去ったからで。
朋花がいなくなった事で、更にその背後にいた2人の気配を強く感じる。
感じたくもない気配。
2人の気配のはずなのに、1つに近い気配。
それは2人が凄くくっ付いてるって事で、……更に涙が溢れ出た。
立ち去って。
向こう行ってよ。
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作者名:ピカ | 作成日時:2016年5月30日 23時