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*
「何がヤバいの?」
「何がって……」
「本当は青柳さんと何かあったとか?」
「違う違う!そうじゃなくてさ、」
「うん?」
「サークルメンバーって噂好きじゃん?結構からかわれたりするのかなって……Aみたいに」
少しだけ悪戯めいた顔でそう言った佑亮は、ニコッといつもの笑みを浮かべ、
「何かこうしてみるとAの気持ち分かったかも」
白い歯を見せて、あたしをクラクラとさせる。
「あたしの気持ちって……」
「何にもないのに話のネタにされるのって嫌な気分だな」
笑って言われたその言葉に胸が痛くなったのは、罪悪感ってやつだと思う。
佑亮は何もないかもしれないけど、あたしは何もなかった訳じゃない。
結局あたしの噂なんてのは、自業自得の上に成り立ったもので──…
「そ、そうだよね……」
曖昧にそう答えながら、不意にこっちを"見つめる"視線に気付いた。
刺すほどの視線じゃないけど、明らかにジッとこっちを見てる。
そっちを見なくても"見られてる"のが凄く分かる。
だからまるで引き寄せられるかのようにあたしの視線がそっちに向かい、……数十メートル先にいる人物を捕らえたあたしの体が固まった。
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作者名:ピカ | 作成日時:2016年5月30日 23時