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「じゃあ時間も時間だから一旦ここで締めます。まだ飲み足りない人は俺の部屋に集合ね」
宴もたけなわ……とまではいかないけど、それなりにまだ盛り上がってる中、小笠原部長がそう締めの言葉を言って、みんなが腰を上げ始めた。
何人まだ飲むのかとか、酒を買いに行かなきゃダメかもしれないとか、そんな話し声が聞こえる中、あたしはそれに気が付いた。
宴会場を見渡しても見えない姿。
確かそこに座ってたと思ってた人物がそこにいない。
一瞬もう宴会場を出たのかと思ったけど、まだ出入り口のドアは閉まったままで、「締め」の挨拶の後誰かが出て行った感じはなくて──…
「ね、ねぇ。佑亮は？」
近くにいた先輩にそう問い掛けると、先輩は一瞬佑亮がいた席へと視線を向け「さぁ？」って答えた。
何かもう嫌な予感しかしない。
予感っていうより、絶対そうだって確信がある。
見えないのは佑亮の姿だけじゃなく、女王の姿も見えない。
絶対に女王が佑亮を連れ出したんだってすぐに分かった。
アイツならやりかねない。
ってか、やらない訳がない。
何だかんだ言って佑亮を連れ出したに違いない。
「なぁ、佑亮知らねぇ？」
「あぁ、青柳さんが酔ったから夜風に当たって来るとかでついて行ったよ。多分庭の方だと──…」
ご親切にもあたしの代わりに大きな声で聞いてくれた先輩の質問に、返って来た返事を最後まで聞かず、あたしはすぐに宴会場を飛び出した。
もう本当に嫌な予感しかしなかった。
浴衣姿の女王が何度も頭にチラついた。
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作者名：ピカ
| 作成日時：2016年5月30日 23時
