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皆が温泉から戻って間も無く、「宴会始めるよ」って小笠原部長からの電話で宴会場に移動して、ちょっと驚いた。

旅館の外観から考えてパッとしない料理だろうって思ってたのに、宴会場に並べられてるお膳にはすこぶる美味しそうな品々が並んでた。


広い会場にコの字に置かれたお膳の前にみんな好き好きに座っていく。
何となく、サークルの飲み会を思わせる席取りゲーム。

ここは負けてらんねぇぞって意気込むあたしは、


「Aちゃんはこっちね」


案の定ともいえる小笠原部長の言葉に、またしても一番隅に隔離された。


今回もまた佑亮が遠い。
遠い佑亮の横に浴衣姿の女王が座ってる。

風呂上りの女王は、絶対いい匂いプンプンさせてる。

他の誰も着てない旅館の浴衣を着てる女王が腹立たしい。


そんな格好で寝たら、朝には浴衣が捲れ上がって腹が壊れるに決まってる。

それならいっそ今腹が壊れてしまえばいいのに、……なんて思ってるあたしはジーンズ姿の普段着で、色気も何にもありゃしない。


「Aちゃん、飲んでる?」

「へ?」


ずっと佑亮と女王の動向を見てたあたしは、小笠原部長のその言葉にハッと我に返って、


「今日、あんまり飲む気しなくて」


小笠原部長の方に顔を向けながらそう答えた。

でもその言葉は嘘じゃなくて、本当にイマイチ飲む気がしない。
体調が悪いとかそういうんじゃなくて、テンションが上がりきらないって感じ。

もしかしたらいつもの飲み会の雰囲気と違う所為かもしれない。

そうじゃなければ、女王が浴衣姿で妙に佑亮にベタベタしてる所為かもしれない。



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設定タグ:超特急 , タクヤ , 草川拓弥   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:ピカ | 作成日時:2016年5月30日 23時

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