不機嫌なダーリン。5 (ページ17)

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「途中下車して探索するのが旅行の醍醐味だ！」なんてバカな事を言い出した小笠原部長の所為で2箇所ほど途中下車させられたあたし達が旅館のある駅に着いたのは、夕方近くだった。

旅行疲れってより、乗り物疲れしたあたしとは対照的に、電車に乗るたびに寝てた佑亮は妙に元気で、電車を降りて早々「お腹空いたなー」って笑ってた。

駅には旅館からの送迎バスが停まってて、あたし達はそれに乗り込んだ。

女王は「車酔いする」って言ってた割には、バスの中で佑亮と楽しそうにお菓子を食べてた。

バスに酔えって呪いを掛けてみたけど、女王は全くケロッとしてて、逆に疲れてるあたしの方がバス酔いしそうになった。

小笠原部長が予約してくれてた旅館は、お世辞にも綺麗だとは言えない代物で、年季が入ってるって言えば響きもいいけど、ただの古臭い旅館だった。

それでも旅館のパンフレットにデカデカと載るくらい、その旅館は庭が売りらしく、バカみたいに広い庭を案内された時は、「もういいから部屋に連れてって」って言いそうになった。

「部屋割りは女子1部屋、男子2部屋ね」

フロントで鍵を貰った小笠原部長はそう言いながら1部屋分の鍵を女子の先輩に渡して──…あたし達女子の目が交差した。

女子1部屋。

それはつまり女王も同じ部屋って事で。

「由香って、1人じゃないと眠れないタイプなんですよね」

……女王のその言葉にあたし達女子は誰一人として反応しないで、さっさと部屋へと向かった。

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