【ドラクエ11】次元を渡りし魔法使いの弟子【ログ・ホライズン】 (ページ19)

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001　師匠と弟子ページ19

シロエの目線の先を自身もたどり、Aはギョッとする。
白いロングスカートには、赤い血が乾いたせいで赤黒く変色している。
紺色のローブも目立ってはいないが、よくみれば血が所々こびりついていた。

「少し予定とは違うけど、ホムラの里に向かおうか」

◆

ヒノノギ火山付近に位置する里で、火山の恵みで至る所から温泉が湧き出ており、製鉄や鍛冶が盛んな土地である。
シロエ曰く、最近では蒸し風呂屋ができたのだという。

「できればお湯を使いたかったです…」

グリフォンの背に乗り、シロエにぴったりくっつきながら、Aが残念そうにため息交じりに云う。

「はは、次の町まで我慢して…」

「シロエさん、ちょっぴり汗くさいですよ」

「えぇっ！！？？」

自身の背中に顔をうずめてすんすんと嗅いでいるAの言葉に、シロエはショックをうける。
そんな師匠の反応をクスクスといたずらな笑みを浮かべて、「じょーだんです」と笑いながらシロエの背中に再度ぴったりとくっついた。
彼女の冗談に踊らされ、なんともいえない表情で苦笑いをすると、グリフォンを加速させた。
あれから数日と日がたち、ホムラの里に到着したシロエ達は、ひとまず宿で休むことにした。

「A、こんなものでどうかな？」

部屋に入ってきたシロエの手には、Aの服が握られている。
シロエから服を受け取ったAは、両手を大きく伸ばし、ふわりと広げた。
血がべっとりと滲んでいた白い部分も、すっかり汚れは落ち、見違えるように綺麗になっていた。

「さすがに手洗いだと落ちなかったけど、こーゆうときにも魔法が役に立つとはね」

ベットに腰かけたシロエは、背伸びをした。
どうやら手洗いで落ちなかった為に、自身が使える魔法を応用したのだろう。

「あの、シロエさん」

「ん？」

「えっと、着替えても…大丈夫ですか？」

ベットに今にも転がりそうなシロエを見て、もじもじと歯切れの悪い口調でAは問いかけた。
その様子にハッとした様子で立ち上がり、顔を赤くさせたシロエは申し訳なさそうに扉に走った。

「ご、ごめん！！」

慌てて部屋を飛び出したシロエ。
静かになった部屋で、薄着のままだった彼女は、洗い立ての自身の服に着替え始めた。