【ドラクエ11】次元を渡りし魔法使いの弟子【ログ・ホライズン】 (ページ14)

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シロエの言うとおりだ。
あのままもし戦闘にでもなっていたら、村人の中から死者が出てもおかしくない。
グレイグの前で言った言葉は決して嘘ではないけれど、それは二人だけだった場合の結果だ。
村人達を守りながら戦うというリスクを背負ったシロエ達に対して、グレイグやホメロス達にはそれがない。

「守るって難しいですね」

「君だけができることを考えて、見つけていけばいい。今の君がそうであるように」

優しく微笑んだシロエはまた、手元の本を読み始める。
シロエの言葉に頬が少しだけ緩むのを感じ、「はい」と小さく呟くのだった。

◆

静かな波打つ海と空の境界線から、オレンジ色の光が青紫色の空を染め上げていく。
ほのかに塩の香りがする冷たい風に吹かれ、まだ重たい瞼を気怠そうに開けたシロエは、大きく身体を伸ばした。

「おはようございます」

ふわふわと思考の定まらない頭を押さえ、ぼやけた視界で眼鏡を探すシロエにAが微笑んだ。
丸いガラス越しに見る彼女は、朝陽に照らされ、長い黒髪が風に揺らめくたびにキラキラと輝いている。
「おはよう」と短く伝えたシロエは、染まった顔を隠すように視線をそらした。

「昨日は眠れた？」

腰に鉛でもぶら下がっているかのように、重たい動作で立ち上がったシロエは白のマントを羽織った。

「シロエさんが見ていてくれてましたから、このとおりですよ」

両手をグッと握りしめ、元気だとアピールする彼女にクスッとシロエは笑った。
ダーハルーネまでの進路を確認するため、地図を広げたシロエは自身の記憶をパズルのように組み立て合わせていく。
グリフォンで向かうには、途中に必ず島が必要である。
休ませるという目的もあるが、その性質上暗闇にで飛行を続けるのは危険だと判断したためだ。
鳥目というやつである。

「A、次の場所なんだけど…」

しかし呼びかけに返ってくるはずの声が聞こえない。
ハッとして辺りを見渡してみるも、Aの姿は見えない。
さっきまでグリフォンに餌をあげていたはずなのに、そこに彼女の姿はなく焦った表情を浮かべた。
珍しく慌てたシロエに、グリフォンが咆哮した。まるで冷静になれと言われているような気だ。
グリフォンはブルブル鳴きながら首を振ると、巨体をゆっくりと動かしながら歩き始めた。
その様子に怪訝な表情を浮かべながら、シエロはグリフォンの後ろを追う。