【刀剣乱舞】君を、想う-2nd-【ブラック本丸】 (ページ9)

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「えへへ、それはですねー」

Aは小さめの鍋にだし汁を入れると、醤油や砂糖を加えて熱を加え始めた。
鍋が煮える間、Aが片栗粉を水で溶く。

「あ、先程切っていただいた野菜を入れてもらってもよいですか？」

Aに言われ、燭台切が鍋の中に小さく刻まれた野菜を入れる。

「あとは、野菜に火が通ったら、とろみをつけて完成です。」

「あ、もしかして、Aちゃんが作ろうとしているのって…あんかけ？」

「はいっ、そうなのです！これなら、おにぎりの形が悪くても、あんかけで崩して食べられますし、硬くなってしまっていても食べやすいですから。」

「良く思いついたね。」

「えへへ、私が思いついたわけではないのです。」

嬉しそうに笑っているAに、燭台切は不思議そうに首を傾げる。

「それって…」

彼女の言い方が気になった燭台切が、どういう意味が聞き返そうとした時、鍋の中のだし汁が泡立っている音がした。

「あわわっ、少し火が強すぎましたかね。あちちっ…」

「だ、大丈夫？」

「もう、気をつけてよね。ほら、貸して。」

朱里はAの手から水溶き片栗粉が入った器と箸を取ると、泡立ちのなくなっただし汁へと流し込んでいく。

「火傷、してるなら冷やした方がいいわよ。」

「大丈夫です。痛くありません。」

朱里に見えるように手の甲を見せて、Aはへっちゃらだと無邪気に笑う。

「二人は、本当に仲が良いんだね」

燭台切がふとそんなことを口走る。
二人は互いの顔を見合わせ、Aは照れたように頬を紅くすると、朱里の方へと恥ずかしそにはにかんで見せた。
そんなAとは対照的に、朱里の瞳が気怠そうに細められる。

「なに、急に…」

「え、えっと、二人は従姉妹同士だって言ってたから。ホントの姉妹とは違うんだよね。二人を見てると、姉妹というか友達というか、不思議な感じだなって思って。…あぁっ、ごめんね。こんな事、失礼だったよね。」

燭台切は朱里に気圧されることがあるのか、たじたじの様子だった。
彼の言葉に少し考えるように、宙を見つめる。

「…まあ、確かに最初から仲が良かったわけじゃないけど。」

「え、そう、なの？」

「どちらかと言うと、私の方がAを避けてたっていうか、嫌ってたかも」

「ええっ！」

信じられないとでも言わんばかり、燭台切の口がポカンと開いていた。
確かに朱里は、Aへもキツイ物言いをするが、どこか言葉の裏には優しさが感じ取れた。