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冷水の如く静かに微笑む二人の姿に、Aはカタカタと震える。
二人の背後には、見えないはずの猛吹雪が荒れ狂っていた。
「おっと、忘れるところだった。お前に会いたいと言っている奴がいてな。」
「わたし、ですか…？」
微動だにしない笑顔で、Aの方に視線を向ける。
「向こうで待たせているから、行ってくるといい。」
「で、ですが…」
そう言って視線で外を指す彼女に、Aはチラッと三日月を見る。
三日月はAと目を合わせた後、ニッコリと微笑んだ。
「ぁ、では、少しだけ失礼しますね」
Aは立ち上がって、深々と一礼する。
「あぁ、鶴丸。お前はここにいろ。一応、お前にも伝えておくことがある」
Aの後を追っていこうとしていた鶴丸は、怪訝な表情を浮かべて立ち止まる。
「大丈夫ですよ。すぐ戻ってきますのです！」
不服そうな様子の鶴丸に、Aがニッコリと微笑むと渋々また腰を下ろした。
「では、行ってきますね！」
Aの姿が見えなくなったのを確認すると、彼女は三日月に向き直った。
「さて、当の本人を外すとは、いささか褒められたことではないなぁ」
「聞かせたかったか？」
「いいや。その時が来れば、なるようになるさ。それで…あの娘だが」
「ああ、何も知らない一般人、と言った方が分かりやすいか。どうやら手違いで来てしまったようだな。…黙ってないで説明したらどうだ？こんのすけ」
”こんのすけ”と呼ばれ、彼女の羽織の後ろから赤い隈取模様のあるきつねが現れる。
ちょこんと座ったきつねは、両耳を垂らして俯いた。
「はぁ…。勝手に機械を操作した上に、まさか霊力も持たない一般人を私の本丸の蔵に転送するとは。まだそれだけならいいが、
「誠に申し訳ございません…」
しゅん、と耳と尻尾を更に垂らして俯くこんのすけに、彼女はまたため息をつく。
「しかし、何故解けた？お主ほどの審神者であれば尚更疑問だ。確かにあの娘からは独特の匂いがする。が、それはあの娘のモノではないだろう」
「それはあの娘が持っている物の影響だ」
◇
Aは、三日月達がいた広間を出ていくと、周囲を見回した。
「待っていたぞ」
何度も聞いた声にハッと声の主がいる方へと振り返る。
そこにいたのは、先程まで広間にいた三日月宗近の姿だった。
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作者名：マナ | 作成日時：2021年8月2日 16時
