【刀剣乱舞】君を、想う【ブラック本丸】 (ページ8)

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(燭台切さん、先程から話しかけても、心ここにあらずといったご様子です…も、もしかして、先程お名前をカッコイイと褒めたことが嫌だったのでしょうか…！？ど、どうしましょう！もしそうであれば、知らないうちに傷つけてしまっていたのでは…！)

燭台切の前にAが勢いよく飛び出す。

「あ、あの！燭台切さん！」

突然大声を出す彼女に、燭台切もビックリした様子で立ち止まった。

「もし傷つけてしまったのであれば謝ります！でも、本当にカッコイイと思ったんです。わたしなんかに褒められて、嫌な気持ちにさせてしまったなら、本当にすみません！！」

「…え？…ええっ！」

頭を膝まで下げて謝るAに、燭台切は慌てた様子で驚いた。

「ち、違うよ！違うからっ！頭上げてっ！！」

「…え？」

燭台切の言葉に、不安そうな様子で頭を上げた。

「…君は、何も知らないみたいだし、巻き込みたくなくて。でも、僕にはどうしていいのかわからないから。…ごめんね、勘違いさせて。」

「い、いえ！私が勝手に勘違いしてしまっただけなのでっ」

「これじゃあ格好がつかないなあ、でも…」

右頬に流れる漆黒の髪がふわっと浮いた瞬間、黒い眼帯が覗く。
燭台切はAの顔を覗き込むように屈むと、目を細めてフッと微笑む。

「嬉しかったよ。ありがとう。」

(あわわわっ、な、なんというか。燭台切さんの笑顔があまりにも素敵で、カッコよくて、心臓のドキドキが…！)

動揺のあまり言葉にならず、Aは真っ赤に染まった頬を両手で隠した。
照れた様子のAの視界に、突然白い布がバサッと現れる。
鞘に収まったままの刀が握られた腕を突き出し、二人の間に割って入ったのは鶴丸だった。
鶴丸は静かに腕を下すと、今度はAの目を隠すように頭をぐいっと引っ張り、ゆっくりと歩き出す。

「え、ええっ、わわっ…つるまるさんっ、前が見えないですー！」

Aが転ばないように力加減を抑えたつもりだったのだが、流石に後ろ歩きの状態は歩きにくかったのだろう。
鶴丸はAの視界を塞いでいた手を退けると、今度は彼女の手を握って歩き出す。
そんな二人の様子を燭台切は、ポカンとした表情で見つめていたが、ふと笑みを溢す。

「はは…ホント、変わった子だな」

当の本人には聞こえない声で、どこか嬉しそうに燭台切は呟いた。
二人を追いかける彼の足は、先程よりも軽かった。