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「なにを仰いますか！飯綱使いには諸説ありますが、相当な力あるものでも使役することはかなり難しいことでございます。経験ある審神者様でも中々なれるものではありませんし！」
「ほお、審神者でも難しいとは。俺も初耳だな。」
「そんなに凄いんだね。」
燭台切と三日月は素直に感心するが、鶴丸は怪訝そうに眉間に皺を寄せていた。
「ここまで来れたのが飯綱の力だという事はわかった。だが、約束とはなんだ？」
碧は鶴丸の態度には気にした様子もなかったが、鶴丸は碧の言葉に引っかかっていた。
「荼枳尼天を祀っていたなら掟があるはずだ。」
「ほおー、詳しいな。」
碧が驚い表情で感心の声を上げる。
「一度祀るれば己の命と引き換えに、その信仰を従事しなければならない。もしその掟を破れば…」
「や、破れば…？」
鶴丸の只ならぬ様子に、燭台切はゴクリと生唾を飲み込んだ。
「災禍が降りかかるか、あるいは最悪…”死ぬ”」
碧は切れ長の目を更に細める。
「ああ、実際のところは知らないが、そう言われているな。しかし、詳しいな。似た境遇の知り合いでもいるのか？」
鶴丸は不機嫌そうに鼻を鳴らした。
「そんなことはどうでもいい。だが、飯綱は使役する中でも特に扱いが難しいというのは知っている。努力や技術などで手にできる力ではない。そいつらは、血を最も重視するはずだ。盟約を結んだ血族でしか、決して使役することはできない。…なら、なんで
その声色には怒りさえ感じた。
嬉しそうに狐の頭を撫で上げているAに、鶴丸はどこか悲しそうに瞳を揺らす。
碧は少し考えた後、Aの方へと視線を移した。
「A、折角だ。少し、薊と朱里と三人で散歩に行ってくるといい。」
「…え？で、でも…」
「薊もここまで来るのに霊力を相当消費してしまっている。ここは霊力を回復するのには良い場所のようだし、それに元の場所では、お前は薊を認識することはできないだろう？折角だから行ってくればいい。」
Aはチラッと三日月達の方へと視線を移す。
「他の部屋に入らなければ構わんぞ。こんのすけも一緒に行ってやってくれ。ここの本丸は広いからな。」
「承知致しました。」
こんのすけはテーブルの上から軽やかに飛び降りる。
「では、参りましょう！」
Aの前に着地したこんのすけは、片方の前足で外を指した。
「薊さん、折角ですし、一緒にお散歩しましょうか？」
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作者名：マナ | 作成日時：2021年8月2日 16時
