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「では、今度はこちらだな。」
三日月に皆の視線が集まる。
彼もまた簡潔に自身の紹介を終えると、左隣に座っている燭台切が名乗る。
燭台切が話し終え、次は鶴丸の番だと皆が視線を集めたが、彼から言葉が発せられることはなかった。
「あー、ごめんね。鶴さん、無口なんだ」
燭台切が苦笑いをして見せれば、鶴丸は小さく鼻を鳴らしてそっぽを向く。
「では、僭越ながら私がご紹介してもいいでしょうか？助けて頂いたこともありますし、朱里ちゃんと碧さんにも知って欲しいですから。」
Aは立ち上がって、鶴丸の隣で腰を下ろした。
鶴丸はニッコリと笑顔を向けられ、暫くジッと無表情でAを見つめていたが、好きにしろと言わんばかりに肩をすくめてみせた。
「こちらは鶴丸国永さんです。私がここに来るまでずっと一緒にいてくださったのですよ。」
「ほう…」
碧はなにやら考えるように口元に手をあて、鶴丸を纏わりつくような視線で見回した。
それが気に入らなかったのだろう鶴丸は、金の眼をギラリと鋭く光らせる。
鶴丸と碧の間には、今にも赤い火花を散らさんがばかりに両者睨みあっていた。
「はあ…。で、なんでAがここに飛ばされたかだけれど」
朱里が呆れたような溜息を吐く。
「ああ、そうだったな。それについては、こんのすけが説明しよう。」
三日月はそう言って、自身の足元に視線を下げる。
こんのすけは立ち上がると、勢いよく飛び跳ね、ひらりとテーブルの上に着地をした。
「わたくしはこんのすけと申します。」
突然、目の前に現れた狐がしゃべるものだからか、朱里は少し目を開いた。
だが、すぐに無表情に戻ると、彼女はジッとこんのすけを凝視し始めた。
「ふぅん、ここって不思議な力が漂ってると思ってたけど、あなた式神の類かなにかかしら。」
疑問に思ったのか、聞いてきたわりにはどうでもいいと言わんばかりに、こんのすけへの興味が失せたように視線が離れた。
「い、いえ。わたくしは”クダギツネ”であって…」
「こんのすけさんは”クダギツネ”さんだったのですか！？」
「なんであんたが驚くのよ…、ていうか、知らなかったの…」
Aの大袈裟さな様子に、朱里は呆れた表情を浮かべる。
瞳をキラキラと輝かせ、尊敬ともいえる眼差しを送られているこんのすけは、気恥ずかしそうに耳を垂らした。
「凄いです！私、本以外で”クダギツネ”さんを見るのは初めてです！感激です！」
「そ、そんな、感激されるような事では…」
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作者名：マナ | 作成日時：2021年8月2日 16時
