【刀剣乱舞】君を、想う【ブラック本丸】 (ページ41)

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「はぁ、まったく。朱里、その辺にしないか。それ以上すると、Aを潰しかねん」

「碧(みどり)はAに甘すぎるのよ！」

朱里が振り返ってキッと睨んだ先に、彼女たちよりかは年上であろう男性が眉間の皺を右手で伸ばし、溜息交じりに肩を落としていた。

「み、碧さんっ！」

朱里の手がパッと離れて解放されたAは、驚きの声を上げる。

「A、無事で良かった」

切れ長の目が、右に流れる前髪から優しく細められる。
長く伸びる色素が薄い金の髪を一つに束ねた彼は、ゆっくりとAの方へと歩みを進めようと歩きだそうとした時、その前に鶴丸が立ちふさがった。

「つ、鶴丸さん…？」

Aの声にも反応を示さず、ただギラついた金の瞳を一点へと向けていた。
怪訝そうな表情で目の前に現れた鶴丸に、碧は暫くして「ああ」と納得したような声で呟いた。

「きみ、わかるんだな。いや、きみだけじゃないのか…」

碧は鶴丸を見てから順に、その場にいる全員を見回した。

「安心してくれ。”こいつ”は何もしない。”ここ”にこれたのも”こいつ”がいてくれたからだ。」

右手を挙げて、軽く笑ってみせた碧だったが、それでも鶴丸の瞳は興奮したように鋭く光っている。
鶴丸の様子に、碧はまた思考を巡らせて、彼の後ろの先にいるAを見てまた、「ああ」と笑い声を漏らした。

「なら説明させてくれ。自己紹介も必要だし、それに…”こいつ”もAに会いたがってるしな」

女性なら誰もが目を惹く笑顔を浮かべた彼は、自分の足元に視線を落とした。

「鶴丸、とりあえず、話を聞こう。」

宥めらるように三日月が鶴丸に声をかけると、彼は息を大きく吐いた後、肩を落とした。
鶴丸は後ろを振り返って、一瞬だけAの方を見やる。
その視線にAは不思議そうに首を傾げていたが、先程まで殺気立っていた瞳は消え、いつもの無表情で彼女から視線を逸らしたのだった。

「とりあえず、そこでずっと聞いていたのだろう。こんのすけ。」

三日月の視線を皆が追えば、すこし気まずそうにテーブルの端から小さな狐が顔を覗かせた。
どうやらずっとそこにいたらしいこんのすけは、彼らのやり取りをずっと見ていたようだった。

「お前も関係ない話ではないのだからな。こちらの事情を説明してくれ。客人よ。もてなしもできないが、とりあえず話をしようか。」

三日月はいつもの余裕のある笑みを浮かべ、ほけほけと笑って見せた。