【刀剣乱舞】君を、想う【ブラック本丸】 (ページ33)

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満面の笑みを浮かべていたAは、突然目を点にさせて、目の前にいる狐を数秒凝視した後、鶴丸と燭台切の方に首を向ける。

「つ、鶴丸さんっ、燭台切さんっ！！きつねさんがお話されていますっ！」

「うん、そうだね」

Aのしたり顔に、燭台切は微笑ましく目を細め、鶴丸は特に反応することなく、音を立てて味噌汁を啜った。

「この度は、A様に多大なるご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございませんでした！全てわたくしめの責任でございます！」

こんのすけは頭を畳に擦り付けんばかりに下げ、Aに向かって謝罪の言葉を述べる。

「え、ええっ！？そ、そんな。な、なにがなにやら。頭を上げてください！」

突然、土下座をされ、Aは両手をバタバタと振って、困惑の表情を浮かべた。

「要は、お主をこちらへ飛ばした張本人はこんのすけという事だ。」

審神者から補足を受け、Aはこんのすけの方へ視線を下ろし、首を傾げた。

「そ、そうなのですか…？」

「はい…、審神者様のおっしゃる通りです。間違ってしまったとはいえ、貴方様を危険な目に合わせてしまったのは変わりありません。なんとお詫びをして良いかっ…！！」

「い、いえ、そんな。もう良いのですよ。」

畳の上に頭を叩き付けんばかりの勢いで上下に頭を振るこんのすけを、Aはどうどうと両手を前に、落ち着くように宥める。

「まったく、何を間違ったらこうなるのか。」

「間違い、ですか？」

そんなこんのすけにはお構いなく、容赦のない言葉を吐く審神者に、Aは首を傾げた。

「お主、"霊力"というものはわかるか？」

「れい、りょく…、それって、お化けとか見えたりすることですか？」

Aは言葉を飲み込んだ途端、急に顔色が真っ青になった。

(苦手なんだね…)

(わかりやすい…)

燭台切と鶴丸は、Aの白い肌が青くなったのを見て、彼女がこういった話が苦手なのだと察する。心なしか彼女の瞳が潤んでおり、身体は小さく震えている。

「…まあ、間違ってはいないが。呼び方は何でもいい。魔力、妖力、超能力、神力、程度の差はあれ、力を宿す者は一定数いる。」

審神者の話をどこか怖がりながら聞いていたAは、震えていた身体をピタリと止めると、ぼんやりと目を伏せて俯いた。

「なんだ、その顔は心当たりがあるのか？」

「…えっ、あ、いえ」

審神者に問われ、Aはハッと顔を上げるも、すぐに言葉に詰まって俯いてしまった。