【刀剣乱舞】君を、想う【ブラック本丸】 (ページ28)

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優しく微笑んでくれる燭台切に、Aも同じように微笑み返す。

「はい！ありがとうございます！」

「ところで、まだ6時前なんだけど。どうしたの？もしかして、眠れなかった？」

「いいえ、皆さんの朝ご飯の準備のお手伝いをさせて頂きたくて。何かお手伝いできることはありますか？」

「え、いいの？、昨日も手伝ってもらったのに…」

「はい！むしろ、お手伝いさせて頂けたら嬉しいです！」

手伝う気満々といった様子で意気込むAに、じゃあ、と燭台切はダイニングテーブルを指差した。

「今、おにぎりをつくってたんだけど、手伝ってもらえるかな？味噌汁と卵焼きも作らないといけないし」

燭台切の指差したテーブルの上を見ると、大きめの白いお皿に、おにぎりが並べられていた。
Aは綺麗な型のおにぎりを見て、キラキラの瞳を輝かせた。

「わぁ、すごいです！燭台切さんは、おにぎりの結び方がとてもお上手なんですね！感動です、素敵です！」

「そ、そうかな？」

「でも、どうしましょう…」

おにぎりと照れる燭台切を交互に見て目を輝かせていたAは、眉を下げて肩を落とした。

「どうしたの？」

「お、お恥ずかしながら、私はおにぎりを結ぶのがあまり得意ではなくて。その、とても下手なのです」

シャツの裾を両手でいじりながら、少し恥ずかしそうにAは俯いた。
燭台切と鶴丸は互いの顔を見合わせて、そんなことかと肩をすくめた。

「じゃあ、一緒に作ってみようよ。」

「ええっ、でも本当にすごく下手なのですよ！」

「大丈夫だよ。誰だって得意不得意はあるし、失敗したって誰も怒ったりなんかしないよ。ね？」

Aの目線まで屈んだ燭台切は、ニッコリと微笑んだ後、小さく首を傾げた。

「……はい！頑張ります！」

Aの元気よく微笑んだ姿に、燭台切は嬉しそうに笑顔を返した。

「その前に顔を洗ってきてね。場所はここを右に出て、突き当りにあるから。タオルも好きに使っていいよ。」

「はっ、はい！いってきます！」

ハッとした彼女は、慌てて厨房から出ていった。
その後ろ姿を見送りながら、燭台切はひとつ溜息をつく。

「もう、隠れてないで出てきたらどうだい。山姥切くん。」

燭台切が振り返りながらそう言うと、Aが出ていった場所とは反対側の入り口よりひとつの影が揺れた。
白い布を頭から深く被っており、その布も服も所々汚れていたり、破けていたりする。
布の隙間から青みが強いエメラルドグリーンの瞳が覗く。