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大きなテーブルに人数分の料理が並べ終わる頃に、数名の声と足音が聞こえてきた。
「あ…」
しかし、広間へと入ってくるや皆、足を止めて同じ一点を凝視する。
「あ、皆さん。お食事の用意できてますよ！」
彼らのあからさまに嫌そうな表情に気づいていないのか、Aは変わらぬ笑顔で笑いかけた。
「おお、今日も美味そうだな」
立ち止まっている彼らを気にする様子もなく、三日月は誰も座っていない座布団へと腰を下ろした。Aは茶碗に白米をよそうと、三日月のもとへ膝をついて、テーブルの上に置く。
「はい、三日月さん」
「皆の分を用意するのは大変だっただろう。感心、感心」
「いいえ。燭台切さんはとてもお料理が上手で、私はあまりお役に立てていたか…」
「そんなことないよ。Aちゃんのおかげで、いつもより早くできたからね。それに、一人で作ってるよりかは、誰かと一緒に作った方がやっぱり楽しいかな！」
燭台切はテーブルの上に白米の盛られた茶碗を置きながら、ニッコリと微笑んだ。
「いつもこの量をお一人で作られているのですか！」
「うん。たまに他の人にも手伝ってもらってるけど、得意不得意はあるからね」
「すごいです！素敵です！」
Aは瞳を輝かせて、燭台切に尊敬と憧れの眼差しを送る。
子供のような屈託のない純粋な視線に、燭台切はすこし困ったように照れたが、嬉しそうに笑った。
楽しそうに話す二人の様子を三日月はしばらくジッと見つめて、目を細めた。
「皆も座ったらどうだ。折角の料理が冷めてしまうぞ」
三日月の言葉に未だに広間の前に立っていた彼らは、それぞれ顔を見合わせて渋々といった様子で座ることにした。
「じゃあ皆揃ったし、食べていいよ。Aちゃんは僕の隣でいいかな？」
「はい！」
「鶴丸さんは…って言わなくても、Aちゃんの隣に座ってるね」
燭台切に言われるまでもなく、Aの隣に座った鶴丸に、燭台切は苦笑した。
しかし、皆は箸を握ることなく、俯いたままだ。
ただ一人、三日月だけが料理に手を付け始めた。
一口、味噌汁をすすった三日月に、彼らの視線が集中する。
「ふむ、これはお主が作ったのか？」
「はい！味、濃かったり、薄くないですか？」
「燭台切の作る味とはまた違うが、俺は美味いと思うぞ」
微笑んだ三日月の表情に、Aは「良かったぁ…！」と嬉しそうに胸を撫でおろす。
三日月の様子に不安がなくなったのか、皆それぞれの料理に手を付け始めた。
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作者名：マナ | 作成日時：2021年8月2日 16時
