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「家族というか、従姉妹になるんでしょうか。同じ場所に住んでいるお友達と当番制でお料理はしていましたね。お母さんは、私が小さい頃に病気で亡くなってしまって、その後、お父さんも私のためにお仕事を頑張ってくれていたんですが、外国で事故に遭ったて聞いて、そのまま行方が分からなくなってしまったんです。」
燭台切は手を止めて、Aの方を見る。
「お父さんがいなくなってからは、私の引取先はとても揉めましたが、お父さんと仲が良かったお友達のおじさんが迎えてくれました。とても親切にしてくれていたんですけど、お仕事の関係で一緒に暮らせなくなってしまって、その後は、お父さんの祖父。お祖父さんに引き取られたんです。」
「…大変、だったんだね」
「いいえ、私はとても恵まれているのです。私を新しい家族として愛してくれて、優しい友達が傍にいてくれて。感謝しなければバチが当たります。」
陽だまりのように微笑む彼女に、燭台切は少し目を見開いた。
しばらく、惚けていた燭台切は、グツグツとお湯が沸く音でハッとする。
「あぁっ、お湯が…！」
Aは慌てて火を弱めると、また作業に戻っていた。
燭台切は手を止めていた包丁を再度握りなおす。
「君は、強いね」
「え？」
「ここにもね、元々”審神者”って呼ばれる人間がいたんだ。何人もの人間がここにやって来ては、離れてを繰り返して。最初は僕らも彼らに歩み寄ろうとはしたんだ。でも、彼らの欲にいつしか押し潰される。欲を抱くことを悪い事だとは思わないけれど、それに疲れてしまったんだ。だから、最初に君に会ったとき、正直言うとまたって思ったんだ。格好悪いよね。君は今まで会った人とは関係ないのに、比べるなんて。本当に、格好悪い…」
どこか遠くを見つめて、燭台切は目を伏せた。
「私は嬉しいです」
Aは燭台切の方を向いて、自身の両手をぎゅっと握り合わせる。
「燭台切さんが燭台切さんのことをたくさんお話してくれて。嫌いな事とか、好きな事とか、心のモヤモヤだったり。知っていけたら、その分もっと仲良くなれる。そんな気がするのです！だから、格好悪いくなんてないです！」
愛おしそうに目を細めて微笑む彼女に、燭台切が大きく目を見開いた。
「それに、燭台切さんは優しいです。胸の奥が暖かくなって、安心するような、素敵な優しさなのです。」
「僕が…？」
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作者名：マナ | 作成日時：2021年8月2日 16時
