【刀剣乱舞】君を、想う【ブラック本丸】 (ページ16)

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「まあ、君がそういうならいいんだけど。じゃあ、僕は夕餉の支度があるから、ゆっくりしてていいよ。出来たら持ってくるから」

「あ、よろしければ、私もお手伝いします！」

「え、そんな、悪いよ！一応お客様だし」

「いいえ、お世話になる以上はこれくらいお手伝いさせてください！お料理は得意…とまではいきませんが、微力ながら少しはお役に立てるかもしれません！」

Aは明るく微笑むと、力こぶのポーズをつくってみせた。

「…そうだね。うん。じゃあ、お願いしようかな」

顎に手を当て、数秒考えた燭台切が微笑むと、Aは花を咲かせて喜んだ。

「はい！あ、そういえば、三日月さんが鞄を届けてくださったので、家庭科で使うエプロンがありました！」

鞄の中からエプロンを取り出していると、ふと視界に白い布がひらりと映る。
そこには先程まで微動だにせず、座っていたはずの鶴丸が立っていた。

「鶴丸さんもご一緒しますか？」

Aが微笑みながら首を傾げて尋ねると、鶴丸は無表情のまま小さく頷いた。

「では、いきましょう！」

◇

「燭台切さん！夕食の献立は何をお作りになられるのですか？」

制服の上からシンプルなデザインで出来た空色のエプロンを着て、背中まで伸びる髪をひとつにまとめたAは、燭台切に首を傾げて尋ねた。

「昼間に仕込んでいるものもあるから、ひき肉と厚揚げの味噌煮と大葉のちくわ和えに、卵豆腐、野菜のお味噌汁かな」

「わぁ、美味しそうです！私はどれをお手伝いしましょうか？」

「じゃあ、みそ汁をお願いしてもいいかな？野菜はそこに準備してあるから」

「はい！お任せください！」

厨房の入り口に体重をあずけている鶴丸は、その様子を観察しているだけで、手伝う気はないのだろう。
Aは台所に立つと、燭台切から言われた通りに、お湯を沸かし始める。
広間で見た通り、ここにはかなりの人数が住んでいるため、寸胴鍋で作っているようだ。
彼女が持ち上げるには重い鍋だが、小さな鍋を使い、何度も水を汲みなおしては、鍋に入れるを繰り返していた。

「君って、よく料理するの？」

それを横目で時折観察していた燭台切は、呟くように彼女に訊いた。

「はい！一人暮らしなので、お料理はよくお家でもしていました！」

「お母さんとか、家族は、しないの？」

包丁とまな板が擦れる音が規則的に聞こえる。
Aは気にした様子もなく、ニッコリと微笑んで話し始めた。