ご兄弟なのですか？ ページ14
「で、では！お世話になるのであれば、ルールとか教えてください！あと、掃除でも洗濯でもなんでも言ってくださればやります！」
「はっはっは、よいよい。お主はそのままでいてくれれば。燭台切よ、離れに案内してやれ。分からないことは燭台切に聞けばよい」
「分かったよ、三日月さん。」
燭台切はそう言いながら立ち上がると、Aの傍までやって来ると、優しく笑いかけた。
「よろしくね」
「はい！よろしくお願いします！」
「良かったな。では、主よ。俺らもここらで帰るか。」
「そうだな。」
Aの隣にいた三日月は、彼女の頭にぽんっと優しく掌をのせ、名残惜しそうに一撫でした。
すると、Aはじっと三日月の顔を見上げて凝視する。
「なんだ？」
「あの、ずっと気になっていたのですが、お二人はご兄弟なのですか？」
一瞬、シン……と何秒かの沈黙が流れたが、すぐに二人の三日月は愉快そうに笑う。
Aは首を傾げて、2,3回瞬きをした。
「まあ、間違ってはいないが、あっているともいえないなあ。」
「兄弟か、それもまあ悪くはないな。して、どちらが兄と弟だ？」
「え、え、え？」
困惑しているAの頭を、愉快そうに三日月は優しく何度も撫でた。
「娘よ。こいつらは人間ではなく、刀だ。」
「え…？かた、な、ですか？でも、皆さん、同じで…」
三日月や燭台切、鶴丸を忙しなく見ながら、Aは困惑した様子で頭を悩ませていた。
「主。見せた方が早いのではないか。」
「ふぅ、仕方ないな。」
三日月は自身の佩いていた刀を差出すと、彼女は溜息をつきながら受け取った。
三日月が目を閉じると、彼の身体から暖かい光が泡のように光り出し、刀に吸い込まれるようにその姿を消した。
完全に光が消えた後、彼女が一息吐くと、どこからか温かな風がゆっくりと吹き始める。
その光景は、Aも一度見たことがあった。
鶴丸が現れた時と同じように、大量の淡い光を宿した花弁が舞い上がる。
光の花弁が跡形もなく消えていった場所には、先程と変わらない人の姿をした三日月が立っていた。
「どうだ、驚いたか？」
「…は、い。」
全身の力が抜けて、Aはその場に座り込む。
「つまりな、俺達は元々”刀”なのだ。本来こうして人の姿を持たぬ俺達に、人の姿を与え、眠っている想いを目覚めさせることができる主のような者を”審神者”と呼ぶ。…驚かせてしまったな」
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作者名：マナ | 作成日時：2021年8月2日 16時
