いつからだろう (ページ12)

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第１１話… ページ12

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私は週４回、ここのビルに来ていた。

お母さんを見守るため……

待合室のソファに座ってたら大野くんに見つかって……

なんで大野くんここにいるんだろ……

自分が大野くんに嘘ついてるってばれたときは何すればいいかわかんなかった。

そしたらお母さんにも見つかった。今日は再婚した人との子どもも連れてた。

もう大野くんにホントのこと言うしかないな。

言うのはつらいけど……

お母さんに拒絶されてたこと、お母さんが私とお兄ちゃんを忘れちゃったこと

今でも涙が出てきそうで

『私達はお母さんを助けてあげられたのかな…』

そんなの大野くんに言ったって……

『…だけど私は思うの。私はちゃんと思い出を背負って生きていきたいって。たとえそれが悲しい思い出でも、私を痛め付けるだけの思い出でも、いっそ忘れたいって願いたくなる思い出でも…
ちゃんと背負って逃げないで頑張れば、頑張ってればいつか…いつかそんな思い出に負けない自分になれるって信じてるから
信じて…いたいから』

そんな辛い思い出でも、私のお母さんはお母さんだから……

お母さんと過ごした数年を大切に思いたいから……

『…だから、だからホントはお母さんにも忘れてほしくなかった。頑張ってほしかった。
…だけど、これは私のワガママだから』

気づけば出ちゃってた本音。

お母さんとの楽しかった思い出がなくても

私はお母さんが大好きだから

『……ヒミツだよ』

私は人差し指を立てて口に近づけて言った。

そしたら大野くんが抱き締めてきた。

大野「俺も信じてる…」

優しいそんな言葉に

涙が出た。

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