兄と弟３

#38 ページ38

side照史


たまたま望と相葉先生が休憩時間にダイキチの世話をしてるところを見かけたらしい。



望はダイキチのことを友達だと話してるって気づいたけど、何も言えなかったって。



照｢…まぁ、嘘はついてへんもんなぁ。



犬も友達やし、ボール遊びも追いかけっこも出来るし……。｣



流星は、ごめんなさい、と震える声で呟いた。



流｢…意地悪されてる望に声、かけれんくてっ……



助けな、あかんかったのに…っ…｣



自分を責める流星を安心させるように抱きしめる。



照｢ううん、教えてくれてありがとう。



望が俺らに隠したがってるから、どうしたらいいかわからんかったよな。｣



流｢助けたい……けど…望、学校で俺と居るの嫌がる……｣



望は多分、孤立した自分が恥ずかしいと思ってる。



流星にも俺らにも心配かけたくなくて隠してる。



恥ずかしいのはイジメる方で、望は何も悪くないのに。



淳太くんに助けてもらって環境を変えたのにまた上手くいかへんっていうのも、



言いにくい原因のひとつかもしらん。



照｢流星は変に気を使わずにさ、家と同じように接してあげて。



あと、助けようって流星も無理したらあかんで。



困った時は俺らとか、相葉先生とかにちゃんと頼ること。｣



そう言うと、少しだけ気が楽になったみたいで表情が緩んだ。



照｢…流星は、クラスで嫌なこととかない？｣



流｢…困ったら康二がなんとかしてくれるし、みんなと普通に話すよ。｣



流星がクラスに馴染んで普通の学校生活を送れるなんて、



昔のことを思い出すと改めて感慨深い。



照｢小さいことでもなんかあったらなんでも言うてや。｣



流｢……照史も、困ったら“たすけて”って言ってね｣



照｢……おん、そうやな。｣



簡単に出来そうで難しいんよな、これが。

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