兄と弟２

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side照史



淳｢じゃあ、好きなことは？得意なこととか。｣



照｢得意なんは、身体動かすことと絵描くこと…かな。



好きなことは……｣



そこで言葉に詰まる。



サッカーは楽しいし嫌いやない。



子どもと関わるのも面白いとは思う。



絵を描いて誰かが喜んでくれたら嬉しいし、スポーツでチームに貢献できたら、よかったなと思う。



でも、好きなのかと言われたらわからへん。



夢中になったり、それをしてると幸せな気持ちになるものが流星と過ごすこと以外にあったやろうか。



考えれば考えるほど空っぽな自分に悲しくなって俯く角度は深くなった。



淳太くんは頬杖ついて、黙る俺をみながら口を開く。



淳｢俺が見てて思ったのは、照史食べること好きそうやなぁって。



美味しそうに食べるやん｣



何気ないその言葉は、俺には結構な衝撃やった。



自分じゃ気づいてなかったから正に青天の霹靂。



将来には何にも繋がらんことかもしれんけど、



人からみたらしょうもないことかもしれんけど。



好きやって言えるものが俺にも既にあったことが嬉しくてたまらんくて。



照｢…確かに、食べることは好きかも。



うん、好きや。めっちゃ好き！｣



淳太くんは、ほらあるやん！って無邪気にクイズ当てたみたいに喜んでて、ふっと気が楽になった。



淳｢今度時間あったら俺のバイト先がある商店街行かへん？


めっちゃ美味しいコロッケの店あんねん。｣



照｢え〜気になるー！｣



淳太くんってなんか不思議や。



まだ会ってそんな時間も経ってへんし、



生まれも育ちも趣味も好みも俺とは真反対で



共通点は年の離れた弟がおることくらいやのに



この人は俺のことを分かってくれるって感覚がある。



淳｢じゃあ決まりやな。｣



照｢なぁなぁ、淳太くんのバイト先も行っていい？｣



いつも無意識にお兄ちゃんで居たけど、淳太くんの前やったら少しだけ違う自分で居られる気がする。

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