兄と弟２

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side流星



流星、って呼んでくれるのは、この世界でにいにだけやった。



オカンはりゅうのことが大っ嫌いで、邪魔でしかたなかったんやと思う。



毎日痛くて、辛くて、でもにいにがいたから耐えられた。



にいにが一生懸命笑顔でオカンとお喋りしてるのを



部屋の隅っこで殴られた痛みに蹲りながらずっと見てた。



押し入れに入れられるようになってからも、



耳を澄ましてにいにの楽しそうに喋ってる声をずっと聞いてた。



にいにが楽しそうにしてるのは、そうすればオカンが楽しそうになるから。



オカンが楽しい間はりゅうのこと忘れてくれるから。



酷いことしないから。



にいにが笑顔の時はいつも手が震えてたし、



オカンに撫でられたり抱きしめられるの嫌やのに



泣きそうなのを我慢してじっと動かずにされるがままになってたのも知ってたよ。



にいにはいつもごめん、ごめん、って言うてたけど、



にいにはずっと、必死に笑ってりゅうを守ってくれるヒーローやった。



だから、押し入れの中で真っ暗で息苦しくて、怖くて怖くてたまらない時も、



絶対にいにが来てくれるって、にいにの笑顔思い浮かべて。



夜になったらにいにがここから出してくれる、また流星って呼んでくれる。



それだけを心の支えにして毎日毎日永遠とも思える時間を過ごしてた。

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