ある日の不調な小瀧さん

高熱４ ページ38

side小瀧



…足首くらいまでずっと水に浸かってるの、思ってたよりずっと辛い。


解熱剤の効果もきれて、足元から寒気が上がってくる。



個人のリップシンクを撮り終わったら、メンバー全員でのダンス撮影。



照史が頑張ってんねんから、俺が足引っ張っぱる訳にはいかん。



早く終わらせてあげたい気持ちはメンバー全員あって、いつもより張り詰めた空気。



｢もう1回いきまーす！｣



でも、何度も俺のミスでやり直しになってしまって、少しだけ嫌な雰囲気になってしまってる。



みんな優しいから直接怒りはしないけど、内心照史のこと考えて苛立ってるのは伝わってくる。



重｢集中しいや。こんな時やねんから。｣



小｢ごめん…。｣



神｢ちょっとのんちゃん俺と練習しよ？照史の体力もたんわ。｣



神ちゃんに手首引っ張られて、隅の方で振りの確認してもらう。



小｢照史、ごめん。もう1回やらせることになって…｣



照史はゆるゆると首を振ってくれるけど、キツイのは間違いなくて。



集中。集中。集中や。



どんどん重力増してんちゃうか、ってぐらい、言うこときかなくなってく身体を無理やり動かして



ちゃんと出来てるかすらもはや分からないけど、とにかく必死に撮影を続けた。

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