ある日の不調な小瀧さん

高熱１＿＿sub桐山 ページ35

side小瀧



小｢……はぁ……やっばいな……。｣



スペシャルドラマに出演が決まって、



序盤で撮った、極寒の中で川に浸かってのシーン。



実はそこからずっと調子が悪い。



熱が下がらんくて、解熱剤飲んで騙し騙しでなんとか昨日クランクアップ。



打ち上げも早々に切り上げさせてもらって布団に直行したんやけど、張り詰めてた糸が切れたんやろうか。



朝起きてすぐに分かる、尋常じゃない怠さ。



今日は久しぶりにメンバーとの仕事やけど、どうしよう…。



小｢……うぅ……、｣



時間を確認するのにスマホを持つだけでしんどくて、これは伝えといた方がいいレベルかも、とグループのLINEを開く。


[体調が優れないから病院寄っていきます。]



ぼやける頭でそう打ち込み、送信しようとした丁度その時。



[今マネージャーから連絡きたけど、照史が体調崩してるらしい。病院寄ってから仕事には来るみたいです。]



淳太からそうメッセージが送られてきた。



照史が体調崩すなんて珍しい。



やからか、一大事や、と次々に他のメンバーからの言葉が並んでいく。



[もし照史が無理そうやったら、6人で全力でカバーするから。]



誰かのメッセージのその言葉が、熱にうかされた視界の中で目に止まった。



そうや、屋台骨の照史が不調で、俺までダメになるわけにはいかへん。



大丈夫、大丈夫や。



熱がある状態には最早慣れっこやし。昨日までだって熱あっても全然動けてたし。メンバーがしんどいこんな時に迷惑、かけたくないし。



昨日と比べものにならないだるさだとか、寒気だとか、そんなの全部気のせいやと言い聞かせて、俺はそっと打ち込んだ文を削除した。

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