第30匹 独りにしないで ページ39
家にやっと着いた。
でも帰った心地はしない。
心をどこかに置いてけぼりにしたような、忘れ物をしたことに気づいたような、そんな感じが立ち消えない。
ただいまも言わず靴を脱いだ瞬間、私は部屋に駆け込んだ。
息切れしながらもベッドの中に潜る。
逃げ出したい、なんて思ったんだ。
悪いことをした私が彼といるのが辛かった。
本当は謝りたい。とても謝りたい。
でも隣に成龍がいるのが耐えられなくて、逃げ出してしまった。
罪悪感が新たな罪悪感を呼んだ。
ドンドンドンドン。
ドアを強く叩く音が繰り返し鳴る。
来ないで、来ないでよ！
合わせる顔なんてないの！
貴方と一緒にいるのが辛いの！
……ガチャ
「A」
か細く発せられる言葉は次第に近くなってゆく。
私は丸まったまま何もできずにいる。
ばさっ。
布団を引き剥がされた先には、さっきの弱々しい彼がいた。
「……A！」
抱きしめられる。
この人は私を求めてるんだ。
私がいなきゃこの人はダメなんだ。
いつも私を守らなきゃダメなんだ。
なのに私は、この人に許されないことをしてしまった。
裏切ったんだ。
「成龍、わた」
言いかけた口を彼のそれで塞がれる。
そして私は押し倒される。
重なって見えた。
ブラウスのボタンに指を掛けた＿＿！
脳みその全体積がガンガン痛むのと同じくして恐怖に段々と染まり行く。
あ、ああ、あああ！
……っあれ？
正面にいた彼はそれすらうやむやにしてしまった。
なんで怖くないの……？
傷とあざで出来た身体が露わになる。
あられもないその肌。
カチカチ……
カッターナイフの刃が繰り出されてた。
「……っ！？」
こんなこと言いたくないけど、似てたんだ。
その目も、恐怖の消える瞬間も全部。
ツー……
赤い色が滲んで一つの線になっていく。
痛い。
痛かった。
あれ。
胸から足にかけたキャンパスに書かれていた文字。
『水神矢成龍』
成龍の涙が肌にぼたぼた落ちる。
「俺を、独りにしないでくれ……」
傷に、名に全てに口をつけた。
「っあ……ひゃっ」
くすぐったくて喘ぎ声が漏れ出る。
傷の上にキスマークが塗りたくられる。
成龍のものっていう証が付いて回る。
思いっきり笑ってみせる。
「成龍、大好き」
裸の私を抱き締められる。
「もう一生離さないで」
「……うん」
今日のヤンデレアイテム☆←
たまたま落ちてた鉄パイプ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
米野花子(プロフ) - リオンさん» 大歓迎です！ありがとうございます！ (2019年1月7日 0時) (
レス) id: 9d38e75142 (このIDを非表示/違反報告)
リオン(プロフ) - 米野花子さん» あの… お友達になりませんんか？ (2019年1月6日 22時) (レス) id: ab50be175b (このIDを非表示/違反報告)
米野花子(プロフ) - リオンさん» ありがとうございます！ヤンデレっていいですよね！ (2019年1月4日 12時) (レス) id: 9d38e75142 (このIDを非表示/違反報告)
リオン(プロフ) - 米野花子さん» ヤンデレ最高です！！ いつも見ています！ これからも頑張って下さい！ (2019年1月4日 11時) (レス) id: ab50be175b (このIDを非表示/違反報告)
米野花子(プロフ) - 青い闇の力さん» コメントありがとうございます！このような応援が私のモチベーションです！更新はあまり早くないですが続きを作って参ります！ (2019年1月3日 23時) (レス) id: 9d38e75142 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：米野花子 | 作成日時：2018年10月14日 1時
