私と五条先輩の秘密【呪術廻戦】

40話 ページ41

………もし







もし、私が呪術師でなければ



呪術師であったとしても



五条家に繋がりのない、遠く離れた家庭で生まれていたら___












「…Aさん？大丈夫です？」


『ゎ、七海か…びっくりした。』


「まだどこか調子悪いのでは？
ずっと一点を見つめて、顔色もあまりよくない。」


『ううん、大丈夫だよ。ありがとう。
私なんかより、七海の方が心配だよ。』


「おかげさまで元気ですよ。
…まあ、できることならこのまま休んで
個人戦なんてものもサボってしまいたかったですが。」


『わお、七海からそんな言葉が出るなんて神代驚きぃ。』







「おい」




ｸﾞｲｯ





そんな低い声と共に首根っこを掴まれてしまう。


目の前には呆れた顔の七海がこちらを見ていた。






「話しすぎ、距離近い。」


「必死ですか。」


「七海テメェここぞとばかりに煽ってんじゃねぇぞ！」


「もう少し大人になったらどうです…」


「あ"ぁん？！
お前らが近いのが悪ぃんだろ！

お前にも言ってんだぞ！A！






……A？」








…こうやって、いつも私の隣にいてくれようとする。







『…でも、きっといつか、そうじゃなくなる。』


「あ？」


『だって…先輩は"五条悟"だから。』


「何の話してんだお前。」


『……。

とりあえず離してもらっていいですか？
京都校の女の子たちからの視線が痛い。』



「別によくね？

俺はお前のモンだし。」



「うわ…」






"俺はお前のモン"…か







『…そーゆーの恥ずかしいんでやめてください。』


「なんで？
だってほんとのことだし。」


『はぁ…もういいです。』





七海の前だけとは言え、誰かに一度私たちの関係がバレたらこの男、人前で普通に私に話しかけてくるようになりやがって。








もうすぐ個人戦も始まる


その前にお手洗いに行こうと、場を少し離れた時






「悟くんも結構大胆なんやなぁ。
あんな仲良うしとる場面、家のヤツらに見したら
えらいびっくりしはるやろなぁ。」



『………今からトイレ行くんだけど。
なに？覗き見にでもしに来たんですか。』



「ちゃうわ！！！」





なんだコイツは…自分より弱者をいじめてないと気が済まないのか？


振り向きもせず、私がトイレに入ろうとすれば後ろから頭の上に手を乗せられる。







「__"期待"してんで。」




『…。』






そう、私には結局


生まれた時から






"自由"なんてものはないのだから。

41話→←39話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す