私と五条先輩の秘密【呪術廻戦】

28話 ページ29

「何やってんの。」



『や…その…女子側のシャワールーム使用禁止で…』



「あ、そう。」



『……。』






…目が合わないし、心なしか少し冷たい気がする。



まあ…それも当然か。






…自業自得なのに、勝手に落ち込んでんだ、私。




また出直そう…そう思って一度は背を向けた。









___私はいつまで自分から逃げ続けるんだろうか。







『ｯ……あ、の！先輩！！』



「！
な、なに…」





下着を履こうとしていた先輩が、勢いよく振り返って大きな声を上げた私に肩を跳ねさせる。



ちょっと可愛かった………じゃなくてだな。






『私は！
……私、は……、』






……自分の内側を明かすのは、こんなにも怖いことなのか。







自分のことを知って欲しい、わかってほしい




そう思うのに




一歩踏み入られるのが怖い。








何があったとか、辛かったとか言うと情けなく思われそうで



私の弱くて醜い部分を知ってなお、私のことを好きでいてくれるという自信もまったくない。







それでも、今ここで話して



私は先輩のことを信頼しているってことを



心の底から好きだということを、伝えたい





だから……








「あー疲れたね〜」



「とっとと汗を流してご飯を食べましょう。」






…なんてバッドなタイミングなんだ。



外から聞こえてきた同級生2人の声に、私の言葉はそれ以上紡がれることはなかった。




どうしよう…この状況で、しかも2人でいたってことがバレたら何かと誤解を招くに違いない…






「……。

こっち、」




『ぇ…わっ……！』






その時、先輩に腕を引かれた私は個室のシャワールームに先輩と身を寄せて入る。



間一髪で間に合って、2人は私たちに気がつくこともないまま普通にシャワーを浴び始める。







水が流れる音を背景に、私たちは狭い空間に身を寄せ合う。



…先輩が服着てないから目のやり場に困るし、体温が直に伝わってきて、なんとも言えない気持ちになる。






「……いっつも裸なんて見てんだろ。
なに顔赤くしてんだよ。」



『なっ…！
それとこれとは話が違……もがっ……！』



「声大きいわバカ。」





そう言って私の口を自身の手で押さえてきた先輩が、ｼﾞﾛｯ…と私を見下ろす。






「………焦んなくていい。」



『……え？』



「俺、お前のことはわかってるつもり。
だから無理して話そうとしなくていいよ。


ンなことで今更嫌いにならねぇし。」

29話→←27話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す