私と五条先輩の秘密【呪術廻戦】

25話 ページ26

「……お前はさ、俺がお前以外の女と2人で出歩いてても何も思わねぇの？」



『………そんなわけないです。』



「凄ぇ嫌だろ？俺も同じ。



……なんで、七海と2人で一緒にいたんだよ。
しかも、俺に何も言わずに、だ。」





渋谷、街中


雑音が響く中、そんな先輩の声だけは静かにハッキリと聞こえて。





私の手を強く握りしめて前を歩く先輩の表情は見えないけど、きっと良いものではない。





「一応聞くけど、浮気じゃねぇよな？」


『そんなわけないじゃないですか。』


「じゃあなんで七海？
アイツじゃなきゃダメな理由があんの？」


『そ、れは……』





…あぁ、逃してもらえない。


別に後ろめたいことは何もないのに…こうなってしまうと罪悪感でいっぱいになる。





黙り込む私に苛ついたのか、先輩はｸﾞｲｯ！と強く腕を引くと
そのまま人気のないところまで行く。






ﾄﾞﾝｯ!!!



刹那、壁に強く押し付けられて少しばかり背中を痛める。






「答えろ。
2人でコソコソ会って何やってた。」



『コソコソなんかしてな、』



「俺にとっちゃ同じなんだよ。
なぁ、なんで何も言えねぇんだ？」



『……言えない話くらいあります。

例え、相手が先輩であろうと。』






きっと、それが火種だった。


こめかみに青筋を立てた先輩を見て、危機を感じたけど遅い。





ｸﾞｲｯ！と顎を掴まれ顔を上げられると、そのまま噛み付くような自分本位なキスをしてくる。


苦しくて、胸を叩いても止めてくれる気配なんかなくて、気がつけば私の頬には涙が伝っていた。





「っ…！
…悪ぃ、」



『ｯ……友達に話を聞いてほしかっただけなんです…っ！！
それなのに…そんな風に言われるなんて思わなかった…っ

たしかに、何も言わず2人きりで出掛けたのは私が悪いです…



けど…先輩のこと、好きだからこそ言えない話もあるんです…っ。』




「A、」




『でも…これでも、素直になろうって…少しずつ頼れるようになろうって、頑張り出そうとしていたところなんです。








……ごめんなさい、1人にさせてください。
先輩といるの…今は辛い。』




「ｯ……」






……何をどうしたらよかったのだろう。


きっと、何もかもタイミングが悪かったんだ。





直哉に再会したこと、私が頑張るのが遅かったこと、全てが。






『ふ……ｸﾞｽｯ…』






七海…私はすごく未熟だよ。












「ｯ……何やってんだ、俺。」

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